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2009年03月08日

「オタクはすでに死んでいる」 岡田斗司夫 著 新潮新書




 「オタクはすでに死んでいる」と言っても、胸に七つのキズがある男の決めぜりふのことではありません。(・・。)

 あれほど隆盛を誇っていた、「オタク」と呼ばれる人たちが形成するオタク国。
 かつて、そこに住む人たちは、様々な種類のオタク(SF、マンガ、アニメ、フィギュアetc・・)と共に、「好きな対象は違っても、俺たちはオタクなんだから」と互いに理解しようと努めながら、SF州、マンガ州、アニメ州、フィギュア州、それぞれが手を結び、合衆国を形成、共存共栄を図っていた。

 ・・しかし、その「オタク合衆国」に、ある転機が訪れる。

 それは、映像の進化。メディアの進化。

 その進化が、後のオタク合衆国の崩壊へと繋がっていくなどとは、時のオタクたちには想像だにできないことだった。

 古きよき時代のオタク達には、プライドがあった。
 例えば、SFオタクなら、苦労して海外のSFの書物を手に入れて、翻訳書を片手にSF洋書にかじりつき、勉強をしていた。
 何を突っ込まれようと、絶対に答えられる。
 SFのことなら死ぬほど勉強していると言う強い自負心。プライド。
 誇り高きオタクたちの姿が、その国にはあった。

 ・・しかし、映像の進化、メディアの進化とともに、オタク文化がファーストフード化し始める。
 見たければ、すぐに見れる。しかも、映像として、何の苦労もせずに、より速く、よりわかりやすく、より簡単に・・。

 そんな環境で育った新人類オタクたちは、翻訳書を片手にSF洋書にかじりついていた旧世代と、全く異なる価値観を持っていた。

 誰よりもその分野について深く勉強しているという、強烈な自負心、プライドで結ばれていたオタク合衆国民達の深い絆は、新人類オタクにとってみれば、「そんなの、DVD借りてきて見れば一瞬で済む話じゃん。」と、一笑に伏されてしまった。
 
 血と汗と涙で作り上げてきた、「オタク文化」が、ガラガラと音をたてて崩れ去っていく・・。

 そして、やがてやってきた「オタク民族」の絶滅。オタク合衆国の崩壊の時・・。  

 ・・そして、帰るべき故郷を失ったオタクたちは、「個」としての道を、独自に歩き始めて行く・・。

 
 ものっっすごく長くなりましたが、これが、この本の大雑把なストーリー・・。

 オタクっていうと、なんだか、暗い、よくわからない、自分たちとは隔絶した世界のように、どうしても感じてしまう部分があります。

 でも、よくよく考えてみたら、私も「オタク」であると言えるのです。

 収入の一割はビジネス書購入にあて、ヒマさえあればビジネス書を読んで、ブログにまで書いているのだから、どう考えても、認めたくないけど、はたから見たら、私は完全に「ビジネス書オタク」の烙印を押されるでしょう。

 これが、他のオタクにとってみれば、美少女ゲームに置き換わったり、フィギュアに置き換わったりするだけのこと。

 ビジネス書のブログを書いている他のブロガーと交流したり、繋がったり、会ったり、セミナーに参加したり。

 こうして、同じ嗜好やアイデンティティを持った人たちが、他の同じ価値観を持った人たちと出会い、交流を深めていくことで、「小さなコミュニティ」を作っていく。

 そして、自分が好きなものをお互いが認め合うことで、自分と言う「個」の存在を確認し合う。

 古きよき時代の読書家たちは、ビジネス書、古典文学、推理小説など、様々なジャンルをお互いが認め合い、そして自分が好きなジャンル以外の本も少しはかじり、共存共栄していた。

 ・・しかし、今はどうだろう?

 ビジネス書ブロガーは、ビジネス書ブロガー意外とはほとんど交流がないように感じるし(例外も多々あるでしょうが)、私もやっぱり、推理小説オタク州の住民とは交流できないように思うし、古典文学オタク州の住人とも交流できるかというと、やっぱり、見えない壁を感じているのは事実。

 現在、ジャンルは問わず"読書が好き"という大きな枠組みでの「読書大好き合衆国」を形成すること自体、ほぼ不可能になっているのではないか・・。

 それなら「ビジネス書合衆国」ならばどうか?というと、それも危ない。

 ビジネス書オタク州の住人の中でも、今はさらに細かく細分化され、非常にコアなコミュニティの中で、群雄が割拠しているように感じる。

 正に、極限にまで細分化された、それぞれのオタクたちが、それぞれの生き残りをかけた、「オタク戦国時代」に突入しているような感じさえする。
 「これが私の"個"なのですよ」と、叫びながら・・。

 
 ・・岡田斗司夫さんの言葉。

 そんな不安定な関係はとても心細く、とても寂しいと感じることもあるかもしれない。
 そのかわり、君自身の声に耳を傾けてくれる存在が、どんなに大切で、愛おしいかを、身をもって知るだろう。

 ・・おめでとう。

 オタク文化は滅び、君自身が、君自身の文化を作る日が来たのだ。
 オタク民族は滅び、君自身が誕生したのだ。


 
 オタク文化は滅び、オタク民族は死滅し、私は、私という「個」を、確立すべき時に来たのだ。

 それでも、本当に少ないけれど、私の声に耳を傾けてくれる人たち、コメントをくれたり、メールで励ましてくれたり、そんな人たちが存在しているということ。

 その人たちが、どんなに大切で、どんなに愛おしいかを、私は、身をもって知っている。

 色んな人の、色んなビジネス書ブログを読んでいて思うのは、その人たちが、それぞれの「個」を、見事にそこに表現しているということ。

 私も、このブログの中で、"自分"と言う、唯一無二の「個」を、確立させていきたい。

 
 「オタクはすでに死んでいる。」

 そして、この本を読み終えた今、一番大切な"個"というものを見失っていた過去の私も、「今」「ここで」死んだのだ。


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 オタクはすでに死んでいる (新潮新書)

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posted by ビジネス太郎 | Comment(2) | 教養・知識

ビジネス書を読んで、あほうになろう。教養・知識⇒「オタクはすでに死んでいる」 岡田斗司夫 著 新潮新書
この記事へのコメント
一冊の本を自分の言葉でまとめるのってすごく難しいですよね。さすがです!

これからは細分化されていく時代なんですね。自分のブログを振り返ってみると、その傾向に真っ向から対立しているような…。


「個」を確立する時代。そこでは当たり障りのない専門性はなくなるのかも知れませんね。

ニーチェの言葉に「古代ギリシャの人にとっては、『専門』という言葉には意味がなかった」というものがあります。このブログの記事を読んでいて思い出しました。


ちなみに、僕は収入の五割は本代です。

あと、いま気付いたのですが、右上にオシャレな画像がありますね(笑)
Posted by ぼってぃー at 2009年03月08日 20:11
ぼってぃーさん、いつも素敵なコメントありがとうございます!
そういえば、神田昌典さんが土井英司さんとの対談の中で、「自己表現市場は3〜5年後に急拡大する」と述べていました。
それぞれの人が、「個」というものを、自分サイズで、独自に発信していく時代に入るのですね。
それが、何年も先に「オタク」と呼ばれる世界で、すでに起きてしまっている・・。これは非常に興味深い話です。
ぼってぃーさんは収入の五割は本代ですか!?すごすぎる!ぼってぃーさんには、私から、「ビジネス書オタキング」の称号を授けたいと思います。←いらん!
Posted by ぼってぃー様へ:ビジネス太郎 at 2009年03月09日 06:51
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